クリスマスQ&A
○どうして12月24日の夜にお祝いするの?
聖書にはイエスさまがいつお生まれになったのか、実は正確な年月も、どの季節だったのかさえも記していません。
12月にお祝いするようになったのは、4世紀ごろからだといわれています。
それはアジアの西の端で誕生したキリスト教が、初めに伝わっていった、ヨーロッパの冬と関係があります。
日本よりも北に位置するヨーロッパ各地の、冬の夜は長く、木々はすっかり葉を落とし、また雪に閉ざされます。
秋から冬にかけて、太陽の輝く時間が短くなっていく季節は、大昔の人々にとっては深刻な恐怖でした。
「このまま太陽の力は弱くなり、なくなってしまうのではないだろうか…。」
しかし、冬至の日(12月22日ごろ)を境界にして、また太陽は少しずつ光を取り戻します。ですから大昔から、冬至を過ぎると
人々は、太陽の勝利をドンチャン騒ぎでお祝いしました。
クリスマスは、そうした古くからの冬至の祭りを吸収したのです。

闇が深く、闇が濃いこと。その暗黒に私たちは、悲しみや孤独、苦悩と
いったものを連想します。イエスさまは、その最も闇の深い世界にこそ、
救いの光をもたらす救い主だという信仰を、冬至の季節に重ねて、
クリスマスは12月24日の夜からお祝いするようになりました。
一応深夜0時ジャストに生まれたということに定められています。
だから正式には25日がクリスマスなのです。
○アドヴェントって何?
その12月25日のクリスマスを祝うための準備の期間、キリストを迎えるにあたって、世界の人々が自分に反省を求め
清められることを祈る期間です。
11月30日に一番近い日曜日から始まる、クリスマスまでの約4週間がアドヴェントの期間です。待降節ともいいます。
「Advento」とは、ラテン語で「だんだん近づく」という意味と、また「迫ってくる」という意味があります。
クリスマスは私たちが幼いイエスさまに近づくというよりも、まずイエスさまの方から私たちのもとに来てくださる
ということを忘れてはなりません。
○ツリーやリースを飾るのはどうして?
 
やはりキリスト教が伝わる以前の、ヨーロッパに
伝わる太古からの冬至の祭りと関係があるのではと
いわれています。
モミの木などの針葉樹は、冬の間も葉を
落としません。 いつも緑です。
そこに人々は永遠の、不滅の命を見つめ
憧れました。
大昔からの冬至の祭りの飾り付けが、クリスマスのお祝いにもいつの間にか引き継がれたのでしょう。
○サンタクロースって、どんな人…?
人物の起源は4世紀ごろの、現在のトルコの地方で活躍した、ニコラウスという教会の神父さんでした。
ニコラウスは、町の様子を絶えずながめ、たとえば商売に失敗して、一家が離れ離れに
なるような悲しみの中にある家族のもとには、こっそりと金貨や金のかたまりなどを届ける
心やさしい神父でした。
そのころは洗った靴下を、夜中のうちに暖炉のそばにかけて干していたようです。
ニコラウスは夜中にこっそり訪れて、その靴下の中にそっと贈り物を届けました。
こう聞いて、ピンとくるところがあるでしょう。またそのころの神父さんは、赤いガウンや
マントのようなものをはおっていたようです。
ニコラウスは、いつでも子どもたちへの贈り物も欠かさなかったようです。
千年以上が経ちました。ニコラウスは「セイント(聖)ニコラウス」として、ロシアの教会や、あるいはオランダでクリスマスを
迎える時期に重んじられる守護聖人とされていきました。
現在のようなサンタさんのスタイルになっていたのは、アメリカ、ドイツ、北欧と
いくつかの説がありその源流は、プレゼントを贈る聖人が、神さまの最大の贈り物である
幼子イエスさまと、古くからクリスマスを祝うことに結びつけられていたのでは
と、考えられます。
○「クリスマス」という言葉…
「クリスマス」という言葉は、二つの意味の言葉からなっています。それは「Christ」と「mas」。
「Christ」は、「キリスト」のこと。「mas」とはカトリック教会の「ミサ」(misa)、つまり「礼拝」という言葉の
英語発音。だからクリスマスという言葉は単純に、「キリストを礼拝すること」という意味です。
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幼子イエスさまをお迎えするというお祝いを通して、世界の人々の魂が悔い改めて、新しく神さまのもとへと立ち返り、
心から神の子キリスト、そして神を心から礼拝するということを願ったお祭りだということなのです。
○クリスマスのお菓子やごちそうって?
クリスマスの代表的なお菓子といえば、たとえばドイツの「シュトーレン」があります。これは生地に、レーズン、クルミ、
オレンジピール、アーモンドなどを詰め込んで焼いたお菓子です。楕円形の生地を、二つ折りにしたフットボールのような形ですが
それが布にくるんだイエスさま
の形に似ているといわれています。
それをカップケーキのように縦長に焼き上げたのが、イタリアのクリスマスお菓子
「パネトーネ」。 これらはどちらかといえば、とても素朴な味で、熱〜いお茶と
一緒にかみしめて、深い味を楽しむお菓子という感じです。
クリスマスのごちそうには、七面鳥やチキン一羽丸々のローストが代表的で、他にもローストビーフやミートローフ…などが
あります。でもほんとのところ、これという決まりなんてありません。
たとえばおにぎりだけであっても、みんなでゆるし合い喜んで、感謝していただければ、りっぱなクリスマスのごちそう…。
だってイエスさまは貧しくお生まれになったのだから、そのほんとの喜びを静かに味わって、世界中に救いの喜びが伝わるように
神さまがもたらす平和を祈るのが一番大切なことなのですからね…。
○「きよしこの夜」ってどんな歌?
1818年のクリスマス…。オーストリアのアルプスに近い、雪の深いオーベルンドルフという町の教会でのことでした。
ネズミがオルガンをかじってしまい、音が出なくなってしまったのです。
急きょ、その教会のヨゼフ・モールという神父が以前から書いていたクリスマスを歌う詩に、フランツ・グル―バーという
小学校で音楽を教える先生がメロディーをつけました。
ギターで伴奏をして、そのクリスマスの一夜のために、一回だけ歌われる目的だったのです。
ところが不思議な出来事がいくつか続いて、その夜だけの楽譜は、春になって町に伝わり、いい曲だということでだんだんと
いろんな町で歌われ、人気の曲になっていきました。
はじめはチロル民謡として伝わりましたが、あまりに美しい歌にみんなは
「こんなきれいな歌は、きっとハイドンの作曲だ!」
「いや、モーツァルトにちがいない!」と、いろんなことを言い出したのです。
そして何十年もたってから、まわりにまわった楽譜が、とうとうほんとうの作曲者であるグル―バーの目にとまることに
なりました。
「これは、私が作った曲だ。」
グル―バーはそう言って、いくつかのまちがった音を直して
正式な楽譜となりました。
でもその時、歌詞を作ったモール神父はすでにこの世の人では
ありませんでした。
「きよしこの夜」は、今では世界中の人々にもっとも愛されている
クリスマス・ソングと言っていいでしょう。
でもその最初の誕生といえば、それは静かで小さな出来事でした。
どこか、イエス様の誕生の出来事に似ていますね。
(オーベルンドルフの「きよしこの夜」記念礼拝堂)
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